以下のセミナーが日本農芸化学会北海道支部の補助を受け開催されました。

演題:不斉触媒作用を示す植物由来多糖類の発見と実体解明
演者:加藤 康夫 教授 (富山県立大学工学部)
日時:2025年10月7日(火)13:30-15:00
場所:北海道大学農学部W109教室

講演概要

加藤康夫教授が最近発見された不斉触媒作用を示す植物由来多糖類の発見と活性本体の解明についてご講演いただいた。加藤教授の研究グループは、市販酵素製剤において目的とする触媒活性を見出した。詳細な解析の結果、この活性は培地成分として加えられた「きな粉」に由来する多糖類によるものであり、その代表例である市販の水溶性大豆多糖類(SSPS)を用いて、工業的に有用なキラルアミノアルコールの不斉合成法を確立した。さらに、限定分解した活性成分の機器分析により、触媒活性の本体がβ-(1→4)-ガラクタンであり、活性には重合度(DP)19以上が必要であることを証明した。さらに、化学合成によって得られたDP20のβ-(1→4)-ガラクタンも同等の活性を示すことを確認し、β-(1→4)-ガラクタンが有機分子触媒として機能することを世界で初めて証明した。

連絡先
北岡 直樹  kitaoka[at]agr.hokudai.ac.jp